2018-12-24

 モダン焼きを食べた。スーパの中にあった屋台で四百円ほどの価格で売られていた。作り置きしておいたパック詰めのモダン焼きを保温装置の上に置き、その周りから蒸気を出す装置で以て出来たてを演出していた。そんな二流芝居小屋のような演出に愛着を感じてしまい買ってしまった。財布の中で堂々たる異彩を放っていた五百円玉が少々ぬるいモダン焼きとお釣りの百十円に変わったのは面白い。

 折角演出された出来たてだ。早く食べねばモダン焼きが可哀想である。外にあるカウチに座りパックを開ける。青のりの風味がソースの香りに後押しされ嗅覚にダイレクトに伝わる。付属されていた割り箸を誰に言われるでもなく割り、早速つついてみる。柔らかい。感覚的にはつついているというより、沈めているという感じだ。より深くまで箸を入れ、一口サイズに分断する。中から千切りのキャベツとソースがよく絡んだ焼きそばがこんにちは。そんな愛くるしいモダン焼きに感謝を込めていただきますを心の中で唱える。

 キャベツと焼きそば麺を生地にくるんで頬張る。美味い。火を通されてしんなりしながらもシャキシャキ感を残すキャベツと庶民の味方である焼きそば麺が全てを包み込む聖母のような生地に抱かれ、ソースのインパクトともに味覚を刺激する。これで四百円というのだからさっきまで財布の中にいた五百円玉さんのオーラにも納得だ。

 二口、三口、と食べ進める。途中から参戦してくる青のりさんのおかげで飽きることも無い。

 モダン焼きは関西のソウルフードと呼ばれているが、最初っから最後まで民衆を飽きさせない接客精神には敬意を表さなくてはならない。

 あっという間の完食。ゴミを袋に入れ、口を縛る。

 後は帰るだけだ。ごちそうさま。